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●犬ブルセラ病の診断
本症は、流産以外には
臨床兆候を示さない為、
血清凝集反応による抗体値の測定で診断する。
診断は、獣医大学の動物医療センター、
血液検査センターや、一部の開業獣医か病院で実施している。
そして、抗体値がx160以上を陽性、
×80を擬陽性、×40以下を陰性と判定する。
海外では、血清凝集試験より簡単な
スライド凝集試験法もあるが、国内では販売されていない。
犬ブルセラ病の確定診断には、流産胎子、胎盤
血液などを、トリプトイソイ寒天培地で培養して
確認する必要がある。
犬ブルセラ菌の集落は、半透明、灰白色で
真珠様の数ミリのもので
発育までに一週間近く掛かる
●犬ブルセラ病の治療
犬ブルセラ病の治療を行った世界中の研究者は、
同じ結論に達している。
すなわち、
本症に効果的な治療法は存在しない。 抗生剤の(テトラサイクリンとストレプトマイシンの併用)を
3~4週間投与で、血液中に細菌が見られなくなり
血清凝集値も低下するが、投薬を中止すると再び細菌が増殖する。
抗生剤が投与されている間は、血液中の細菌は見られなくなるが
細胞内に寄生している細菌には、抗生剤が到達できない為
残念ながら効果が無い。
このため、
感染犬は、治療法がない為淘汰が第一の選択肢となる。
完全に隔離が出来る場合においても、
雌犬は、卵巣・子宮を、雄犬では、精巣を摘出し
定期的に
抗生剤の投与を一生続けて
菌の排泄を抑えることが必要となる。
●犬ブルセラ病の予防
本症には
有効なワクチンも開発されていない。
このため、予防は感染した犬との接触を避けることのみが
重要となる。
しかし、法相に感染しているかどうかは
外見上判断することが出来ないので
むやみに他の犬に近づけないことが重要となる。
私の大学では、学内で飼育している犬については
30数年前から定期的(2ヶ月毎)に
犬ブルセラ病の血清凝集反応で抗体価を検査している。
学外から犬を導入する場合は、一時隔離して
犬ブルセラ病が陰性であることを、事前に確認している。
また学内の関係者は、家庭での伴侶動物として
犬を飼育している方が多い為、学内の犬に触れる時には
充分な消毒をすることが重要である。
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